いろんな思い出がよみがえってきます。
写真とコラムによる、懐かしの昭和アイス。
昭和30年代から60年代にかけて登場した、昭和アイスを集めました。
コラムは、日本アイスクリーム協会が1998年にPRの一環として募集した「アイスクリームの話」の応募作品の一部です。
夕日のカンカン照りつける部屋でした。50年も前の話です。
コロッケとごはんの夕飯を兄と二人で食べようとしている時、カタカタと下駄の音をさせて、母が駆け込んできました。
そして、驚いている私と兄の前に新聞紙に包んだアイスクリーム二個を出しました。
「食べさせたくて 急いできたんだ さあさ 食べてみな」。モナカのアイスクリームでした。それはそれは、頬っぺたが落ちそうな夢のようなおいしさでした。
喜んでいる私と兄の食べっぷりを満足そうに少しのあいだ見つめていると、またカタコトと下駄の音を響かせて仕事場に戻っていきました。
どんなに急いでも四十分はかかる距離のはずでした。仕事場でもらったアイスクリームを留守番している子供のためにと持ち帰った母、西日のカンカン照る道をどんな思いで急いで歩いてきたのでしょうか。
懐かしい母の思い出とアイスクリームの味でした。